高齢化が進む社会の中、「介護」はある日突然身近な存在になります。「自分はまだ関係ない」と考えるのではなく、介護について基本的なことを知っておけば、もしもの備えになります。
ここでは、各種高齢者向け施設・住宅の違いや、入居前に知っておきたいお金のことなど、専門家監修のもとジャンルごとに分かりやすくまとめています。
先日、賃金の未払いで老人ホームに勤務している職員のほとんどが一斉退職をし、突然施設が機能しなくなり、閉鎖される事件がありました。
老人ホームに入居されている方が取り残され、職員がいないなかで食事や介護を適切にうけられない状態が続いていたと言います。
賃金未払いという悪質な運営体制によって、入居者にも悪影響がでる出来事ですが、いざ家族の入居する施設がこのようなことに直面した場合、どのように対応すればいいのでしょうか。
まずは老人ホーム運営などの介護業界の問題をご紹介します。
高齢者社会が拡がる中で、ニーズはあるにも関わらず、介護福祉事業会社の倒産は相次いでいます。
2023年で122件、さらに現在2024年では過去最悪のペースとされています。
なぜ倒産してしまうのかというと、昨今の物価高や最低賃金上昇の影響で、経費はあがるばかりなのに対し、介護報酬が法定価格として定められているため、利益を考えて介護サービスの価格を決めることができないためです。
介護業のみでは採算が合わないため、他の業種も運営している大企業の会社が生き残り、介護専業の中小企業は生き残りが難しい状態となっています。
介護士や看護師など、老人ホームの職員は人手不足が問題になっています。
介護福祉の職員人口は年々増加傾向にありますが、それ以上に高齢化が進んでいるため、介護職員の増員が間に合っていないというのが現状です。
なぜ間に合わないかというと、高齢者の人数で必要な介護職員数が定められているためです。介護士は、利用者3名に対して、スタッフ1名在籍という配置基準で定められています。
また先述の老人ホーム運営の難しさから、介護士自体の給料も増えづらいという点があります。
では、老人ホームの運営会社の経営状況が厳しくなった場合、どのようなことが起きるでしょうか?
他社が買収して運営会社が変わる場合があります。
この場合は、入居者は施設はそのまま利用できるため、生活に大きな変化や急な対応を迫られることはあまりありません。
しかし、運営が変わると、経営の見直しがされるため、利用料金が変更となったり、今まで普通にあったサービスが無くなったり、といった変更はあるでしょう。
また職員配置も変更される可能性があり、担当の職員が変わる可能性もあります。
引継ぎの運営会社が見つからなかった場合は、施設閉鎖となってしまうため、次の老人ホームを探すしかありません。
先日起きた老人ホームの突然閉鎖の事件では、現在の入居者40名の移転先を市が探している状況だと言われています。
老人ホームの突然の倒産は予期しないことであり、必ずしも倒産しない老人ホームはありません。
ただ、老人ホームには倒産に備えて「保全措置」という義務があります。
老人ホームに入居をする際には、数ヶ月分の利用料金を入居一時金として支払う場合があります。「保全措置」は、老人ホームが倒産などで資金繰りが難しくなった場合、入居一時金の未償却部分の支払いを、銀行、または保険事業者、信託会社等が最大500万円補填してくれる仕組みです。
従って、「保全措置」のある老人ホームかどうかを選ぶ基準のひとつとしてチェックしておくと良いでしょう。
「保全措置」は、原則として平成18年4月1日以降に届け出た有料老人ホームに対して義務が適用されています、それ以前に設立された老人ホームには、努力義務とされています。
(参考:内閣府 前払金の保全措置について (制度の概要等)https://www.cao.go.jp/consumer/doc/101217_report_roujin_houkoku2.pdf)
老人ホームが突然閉鎖になってしまうと、正直打つ手がなく早期に施設を探さなければなりません。
そのような事態を防ぐには、運営会社の今までの経営体制や保全措置をしっかり確認しておく必要があります。
希望にマッチした施設探しをするには、インターネット上の情報では判断しきれないことが多いため、専門の老人ホーム紹介会社を通じて調べることをお勧めします。
岡山県有料老人ホーム相談センターでは、相談から施設提案、見学送迎、契約まで完全無料でサポートさせていただきますので、一度お気軽にご相談ください。
2015年8月入社。株式会社タイオン365立ち上げメンバー。 老人ホーム相談事業の相談員として4年間勤務。計820名のお客様をご案内させていただきました。その後、2020年8月から介護保険事業へ参入。デイサービスを3施設、2021年9月に福祉用具貸与販売事業を開設。その他に介護施設コンサルをさせていただいており、集客や運営のお手伝いをさせていただいています。